B:甲板幅(梁スパン)(m)
BとLとの関係を高速艇でも特に幅広い艇の値をとって
B=0.8L0.7
とし、水中翼船構造基準と同じ形に改めると
L=10に対し
P=0.016(0.02L+0.76)(kgf/cm2)
L=20に対し
P=0.026(0.02L+0.76)(kgf/cm2)
L=30に対し
P=0.029(0.02L+0.76)(kgf/cm2)
また、米海軍では、長さ98フィート(29.87m)の滑走艇の設計において、甲板荷重0.035kgf/cm2を与えている。これを同様に書き改めると
P=0.026(0.02L+0.76)(kgf/cm2)となる。
いずれにしても決め手がないのでRR11基準(案)では中間的な値である
P=0.0026(0.02L+0.76)(kgf/cm2)
を採っている。
多くの場合、この甲板荷重によって計算した甲板厚は、一般乗船者が普通に歩行する場合には、たわみが大になり過ぎて不安を与える恐れがある。そこで別に一般乗船者の通る場所の甲板厚さ、特定の乗員のみの歩く場所の甲板厚さを、たわみによって決定する条件が必要となる。特殊の高性能を追求する艇では、飛行機の機体のように、足を乗せる位置を指定して船体の軽量化を追求することもあり得る。
5.2.5 船側荷重
チャインから上の船側外板に対する波浪荷重は、船首部を除いて余り大きくならない。
船首部の船側外板はピッチングが大きくなったときは船底同様の波浪衝撃を受けるし、波高・波長比の大きな独立波に高速で突込むと、ピッチングとは異なる前方からの波浪荷重を受けることがある。このような部分の船側外板は船底外板と同様に取扱う。横裁面方向の勾配ばかりでなく、水線の前進方向に対する勾配についても検討する必要がある。静かな海で行会船の波によって損傷した例がある。
その他の船側水圧荷重は、波浪中を航行するときの衝撃水圧だけを対象として荷重を決めれば、これはかなり小さな荷重しか掛からないであろう。
しかし、他船や岸壁などとの接舷時などを考えると、そこに適当な荷重を設定しなければならない。これは、その船の運用によっても相違するものであり、特別の係船設備と注意深い操船が行われるときと、一般の小型船と一緒に係留され、操船もそれに相応する場合とでは要求もまた異なる筈である。現実に定期航路の高速客船の場合、運航を始めた当時は舷側を凸凹に変形さし
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